第 2 部・基本の編集 / 2.4

元に戻す・定型文・マクロ

壊してしまったときの戻し方、同じ文字列を打つ回数の減らし方、同じキー操作の再生方法。定型文とマクロは既定のプロファイルではキーが割り当てられていないので、使う前にキーマップエディターで指定します。

所要時間 約 10 分 対象 同じ入力を繰り返す人 前提知識 2.2 バージョン v1.0 ・ 2026-08-26
2.4.1

元に戻す・やり直す

Ctrl+Z で戻り、Ctrl+Y で進む。それぞれ最大 100 手。

キー操作メッセージ行
Ctrl+Z元に戻す直前の操作を元に戻しました/元に戻す操作がありません
Ctrl+Yやり直す直前の操作をやり直しました/やり直す操作がありません
  • 元に戻すとカーソル位置も一緒に戻り、編集していた場所へ移動します。
  • 新しい入力をしなければ、Ctrl+Y で先へ戻せます。
  • 元に戻したあとに入力すると、やり直しの履歴は消えます。どのエディターでも同じです。
  • 履歴はタブごとに独立です(2.1.4 参照)。
履歴が消える 2 つの場合
  • 外部変更による自動再読み込み:古い手順は新しい内容に当てられないため、まとめて破棄されます(2.1.7 参照)。
  • タブを閉じたとき:履歴はタブに属し、開き直しても戻りません。
Erya Classic ではやり直しのキーが違います

既定プロファイルのやり直しは Ctrl+Y ですが、Erya Classic では Ctrl+R です(そして Ctrl+Y は行削除)。切り替え後にいちばん押し間違えやすい組なので、ヒント行を確認してください(4.1.2 参照)。

2.4.2

1 手はどのくらいの大きさか

たいていは 1 キー=1 手。ただし 5 つの操作はまとめて 1 手です。

1 キーが 1 手

  • 1 文字入力
  • 1 文字削除(Backspace/Delete)
  • Enter 1 回
  • 行の切り取り・削除
  • 貼り付け 1 回

つまり 100 手はおよそ 100 文字です。長文を打ったあとにまとめて戻す用途には向きません。

まとめて 1 手

  • すべて置換(F6)——何百件でも
  • 整形(Ctrl+T)
  • 段落の再整形
  • 定型文の挿入
  • マクロの実行——中で何をしても

いずれも「1 つの指示で広範囲が変わる」ものなので、意図的にまとめてあります。Ctrl+Z 1 回で丸ごと戻ります。

バイト編集にも独自のルールがあります

1 バイトを書くには 16 進数を 2 桁入力しますが(上位→下位)、この 2 回で 1 手です。3.3.6 を参照してください。

2.4.3

定型文とは何か

繰り返し打つ文字列を登録し、1 キーで挿入。しかも自動で次へ進みます。

定型文が向くのは、文書の決まり文句、コードのひな形、よく打つパスや名前、繰り返し入れるタグなどです。特徴は挿入するたびに次の定型文へ進むこと。何度か押せば一式を順に並べられます。

1 件目 以上、よろしくお願いします 2 件目 担当: 3 件目 (以下余白) 最後まで行くと、次はまた 1 件目に戻ります
図 2.4.1 定型文は循環リストです。1 回挿入するごとに次へ進み、メッセージ行に「定型文 2/3 を挿入しました」と出るので現在地が分かります。
2.4.4

定型文の登録と挿入

操作は 4 つ:登録・挿入・読み込み・保存。

操作名Classic のキー内容
capture_phraseF9選択範囲を登録します。選択が無ければ現在の行全体。
insert_phraseF10カーソル位置に次の定型文を挿入します。選択があれば置き換えます。
load_phrasesShift+F9.erya-phrases.json から読み込みます。
save_phrasesShift+F10.erya-phrases.json へ保存します。

メッセージ行の反応:

  • 登録成功:「定型文を登録しました(全 3 件)」
  • 重複:「この定型文は既に登録されています」——同じ内容は二重に登録されません
  • 登録するものが無い:「登録できる定型文がありません」
  • まだ 1 件も無いのに挿入:「定型文ライブラリは空です。先に定型文を登録してください」
  • 挿入成功:「定型文 2/3 を挿入しました」
2.4.5

定型文の保存場所

編集中の文書の隣。しかも自分で指示したときだけ書かれます。

登録は保存ではありません

登録はメモリーに入れるだけです。「定型文を保存」を実行せずに終了すると消えます。Erya が勝手にファイルを書かないのは意図的で、他人のディレクトリに勝手なファイルを残さないためです。

ファイル場所
.erya-phrases.json現在の文書があるディレクトリ。/home/leo/docs/報告.txt を編集中なら /home/leo/docs/ です。
.erya-macro.json

つまり定型文とマクロはフォルダーに付いて回ります。プロジェクト A の隣に 1 組、B の隣に別の 1 組。共有したいときは JSON をコピーしてください。

JSON は Erya で編集できます

定型文ファイルは文字列の配列にすぎません。Ctrl+O で開き、Ctrl+T で整形し(3.1.7 参照)、手で数件足して保存すれば、次の load_phrases で読み込まれます。

2.4.6

マクロの記録と実行

キー操作を記録し、まとめて再生します。

  1. 記録を開始します。メッセージ行に「マクロ記録を開始しました。記録操作をもう一度実行すると停止します」。以後、押したキーがすべて記録されます。
  2. 繰り返したい操作をします。移動・入力・削除・検索、どれでも構いません。マクロ管理そのもののキーは記録されません。
  3. もう一度押して停止します。「マクロ記録を完了しました(12 キー)」。
  4. 実行します。「マクロを実行しました(12 キー)」。繰り返したいだけ押してください。
操作名Classic のキー内容
toggle_macro_recordingCtrl+F2記録の開始/停止
run_macroCtrl+F3記録したマクロを実行
load_macroCtrl+Shift+F2.erya-macro.json を読み込み
save_macroCtrl+Shift+F3.erya-macro.json へ保存
マクロ 1 回の実行は 1 手です

中でどれだけ変更しても、実行後に Ctrl+Z を 1 回押せば実行前の状態に戻ります。思い切って試してください。結果が違えば戻して直すだけです。

記録中は実行できません

「マクロを実行する前に記録を停止してください」と出ます。また、何も記録していない状態で実行すると「実行できるマクロがありません」と出ます。

2.4.7

マクロの保存場所

定型文と同じく、文書のディレクトリに、指示したときだけ。

  • ファイル名は .erya-macro.json で、記録したキー列が入ります。
  • 読み込むとメモリー上のマクロを置き換え、記録中であれば停止します。
  • 読み込み・保存に失敗すると(権限、JSON の破損など)「定型文/マクロ操作に失敗しました:…」と出ます。
マクロが記録するのは操作ではなくキーです

保存されるのは物理的なキー(Ctrl+K)であって、「現在の行を切り取る」という意味ではありません。キープロファイルを変えると、古いマクロの再生結果はまったく違うものになり得ます。マクロファイルを共有するなら、プロファイルも揃えてください。

2.4.8

まずキーを割り当てる

定型文とマクロの 8 操作は、既定プロファイルではすべて空です。

押しても何も起きないのが正常です

できるだけ多くのターミナルで動くよう、Erya Terminal Safe は定型文とマクロの 8 操作、そして矩形関連の 5 操作を未割り当てにしています(1.3.9 参照)。F1 ヘルプでもキー欄が空欄で、「機能はあるが呼び出すキーが無い」という意味です。

使えるようにする道は 2 つ:

① Erya Classic に切り替える

F2 → ← → で Erya Classic → Enter。

8 操作すべてにキーが付きます(F9、F10、Ctrl+F2 など)。代わりに他のショートカットも旧セットに変わります。

② 必要なものだけ割り当てる

F2 →キーバインドの行で E →操作を選び Enter でキーを入力→ S で自分の TOML として保存。

既定プロファイルの他の部分はそのままです(4.1.4 参照)。

2.4.9

よくあるつまずき

元に戻す・定型文・マクロで多い 6 つ。

症状原因と対処
元に戻しきれない100 手まで、しかも 1 文字 1 手です(2.4.2)。大量に捨てるなら、保存せずタブを閉じて開き直します。
元に戻すが急に効かなくなった外部変更で再読み込みが起きました(2.1.7)。
再起動したら定型文が消えた保存していません。登録後に「定型文を保存」を(2.4.5)。
別のディレクトリで読み込めないJSON は文書のディレクトリに従います。コピーしてください(2.4.5)。
マクロの再生結果がおかしい記録しているのはキーで、プロファイルが変わったためです(2.4.7)。
これらのキーが全部効かない既定では未割り当てです(2.4.8)。